堺のオッさん×ANDREW氏 対談インタビュー(2/3)

――GOOD4NOTHINGとANDREWさんががっつりタッグを組むようになったきっかけはライヴPAが先なんですよね?

ANDREW そこにいくまでにエピソードがあるんですけどね。GOOD4NOTHINGのPAをやっていた人間が僕の後輩で、ちょっとした繋がりはあったので、近くにいるような存在ではあったんですよ。で、その後輩が別の現場でやることになったので、自分がGOOD4NOTHINGを担当するようになったんですよ。それが7、8年前だから、一緒に組んだのは2010年頃ですかね。

――そうなると、『BACK4GOOD』(10年9月発表)の頃ですね。

U-tan(Vo/G) そうですね、SUNEが入ってすぐでしたからね。

MAKKIN で、たまにANDREWにPAをやってもらうようになって。

SUNE  多分、一発目が「MONSTER baSH」で、僕が入って2、3年目だったかな。

TANNY あの奇跡のライヴやな?

ANDREW フェスで時間も押してて、残り3分で始まる時間です!と言われて。じゃあ、その時間で準備を終わらせてやるわ!って。野外で初めてGOOD4NOTHINGを担当したんですよ。

TANNY なのに完璧やったんですよ!

U-tan 結局、2分ぐらいで準備できたもんな。

――そこでお互いの距離がグッと深まったと?

ANDREW そうっすね。この波長の合い方は・・・

TANNY 泥水を啜ってきた者同士の・・・・

ANDREW 底力がバコン!と大爆発しちゃった感じですね。

TANNY それから我々の快進撃が始まるんですよ。

――ああ、なるほど!

MAKKIN 同じ歳やし、一番楽やもんな。性格もバカ明るいから、一緒にいても苦じゃないし。

TANNY 相性もいいし、お互いにアゲアゲやしな。両方で引っ張り合える存在だから。いままでのGOOD4NOTHINGにはなかった明るさが加わった感じですね。ライヴ後にすぐ反省会をやるバンドだったし、たまにケンカもあったけど、そこにANDREWがウェーイ!って来てくれて。ライヴは一生懸命やったんだから、まずはお疲れさまじゃないのって。あっ、そういう気持ちを忘れていたなと。

――バンドとしてはSUNEさんが加入して、新たにグルーヴを固めなければいけない時期だったと思います。U-tanから見て、ANDREWさんの音の特徴を上げると?

U-tan ドラムの音が気持ち良すぎる。理想の音ですね。

TANNY 僕ら用語で、"入ってる"と言うんですけどね(笑)。

U-tan もちろんハコの状況で、毎回同じ音は無理ですけど、まずハコの計算ができて、そのときの一番気持ちいい音を出してくれますからね。

TANNY そこに関しては最強やな。経験値もあるから、まかせてますね。

U-tan 音がパキッとしているし、特にキックとスネアは最強ですね。音も痛くないし、ロウもパンチがあるから。

――SUNEさんはどうですか?

SUNE あまり外音は聴けないんですけど、ほかのPAさんと比べても断然やりやすいですね。ANDREWさんにやってもらうと、補ってもらっている部分も大きいので、ものすごく気持ちよく叩けるんですよ。プレイしやすいし、その相乗効果でいい音になってるのかなと。

MAKKIN 恥ずかしいやろ?

ANDREW 照れる(笑)。

TANNY こういう風に改めて振り返ることがないもんね。

U-tan そういう意味で、このメンバー5人で中国に行ったことはでかかったですね。

――というのは?

TANNY 最初に中国に行ったときはPAを連れて行かなかったんですよ。向こうはグチャグチャだったから、ボコボコにやられて帰って来たんですよ。次は絶対ANDREWを連れて行こうと。それで満を持してANDREWと行ったら、劣悪な環境の中でも5人で試行錯誤して、ANDREWは向こうの卓と闘ってくれて、お客さんも盛り上がってくれましたからね。向こうのハコのスタッフに「どうしたら、こんな音を出せるんだ?」、「アメイジング!」と言われましたからね。

――そうなんですね!

TANNY 場所場所で奇跡を起こせたから、それもこの5人だからやれたのかなと。で、日本に帰って来ても、劣悪な環境でやってきたから、やりにくいハコがなくなったんですよ。レベルは格段に押し上がりました。

U-tan よく対バンの人に「もうリハ終わりですか?」と言われますからね(笑)。

――海外のハコは日本のライヴハウスとどこが違いますか?

ANDREW ちゃんとしているところもあるけど、ちゃんとしてないハコの方が多くて。僕はそっちの方が燃えるんですよ。例えばドラムの後ろにPA席があったりとか(笑)。

――マジですか!?

U-tan お客さんからすると、ANDREWが見えますからね(笑)。

ANDREW あと、U-tanの横にPAがあったりとか、これどうするの?って感じで(笑)。あと、接続方法がめちゃくちゃだったりして。

TANNY だから、常識が通用しないんですよね。

ANDREW 音の入り口であるマイクがあれば何とかできるので、マイクだけは持ち込んで、残りは会場にあるものを使う形ですね。

TANNY 肉体的にもタフなツアーだったんで、機材車もなかったから、電車移動でしたからね。

ANDREW それと音響の専門用語も伝わらないし、この接続方法だけは直したいと言ってもわかってもらえないんですよね。

TANNY ステージ以外の闘いがとにかく多くて。

U-tan ライヴが終わったら、大体PAの人がANDREWに話を聞きに来てましたからね。

ANDREW マイクのおかげでいい音になってると思い込んでいるんですよ。向こうは教えてくれる人がいないみたいで、みんな独学だから、めちゃくちゃなんですよね。

――そんなタフなツアーを経て、さらにお互いの信頼関係が深まったと。それ以降、音作りに変化は?

ANDREW 話し合って、変わった部分はありますね。ギターをもう少し抜けるためにはどうすればいいか、ドラムのスネアの皮をこれに変えてみようかとか。ドラムのチューニングに関しては初期は俺もイジッていたけど、今はSUNEも自分でチューニングしてますからね。その話し合いがあったからこそ、今のサウンドにも繋がってると思います。会場のドラム・セットをいかにいい音にするかも、バンドのスキルですからね。

U-tan ギター2本に関しては俺とTANNYで考えるけど、それを客観的に見てもらって、こうした方がいいとANDREWがアドバイスをくれることもあるので。

TANNY 自分の機材やプレイを変えるときはまずANDREWに相談しますね。

ANDREW あと、ツアー中にいつもと音が違うときはわかるんですよ。会場のせいなのか、ギターの調子が悪いのか、それも気づくんですよね。

――なるほど。そして、音源でがっつりとタッグを組んだのは『Japanese Katana Soundtrack』(*GOOD4NOTHINGの変名バンド、マッキン&来来キョンシーズで参加)ですよね?

ANDREW そうですね。GOOD4NOTHINGとANDREWでレコーディングしたらどうなるのかなって。

U-tan レコーディングに関してはその前からANDREWと組みたいと言ってたんですよね。ちょうどタイミングも合ったから。

ANDREW ずっとツアーも回ってきたから、このグルーヴでレックしたいねって。

TANNY その前はレコーディングは繊細で・・・楽しいイメージがなかったんですよ。でもANDREWとやるようになって、それが真逆になったんですよ。レックも楽しくなったし、そこでいいものが生み出されることもわかった。いつもの雰囲気を作品に入れることが大事なんじゃないかと。

――それは大きな変化ですよね。

TANNY 僕らは決して暗いバンドじゃないですからね。

――バンドによってライヴと音源を切り離す人もいますけど、GOOD4NOTHINGの場合は音源とライヴの差がないように配慮して?

ANDREW そこはGOOD4NOTHINGに限らず、自分が担当しているバンドはそうしたいという気持ちは強いですね。作品は作品、ライヴはライヴと完全に分ける人もいるけど、俺はライヴでできないことはレコーディングでするなと思っちゃうから(笑)。

TANNY 最終的には人間力ですよね。機材どうであれ、俺らが鳴らせばその音になるという。そこでこれまでやってきたもの同士の相乗効果があるんじゃないですかね。

ANDREW 音源を聴いて、ライヴに来た人がさらにドキドキしてもらえたらいいなと。そういう意味で、レコーディング・エンジニアとライヴ・エンジニアが同じ人というメリットはかなり大きいと思います。

――実際に『Japanese Katana Soundtrack』でタッグを組んだ感触は?

MAKKIN めっちゃ良かったですね。

U-tan これや!というラインが同じで、後は"入ったか"、"入ってないか"だけですからね(笑)。

ANDREW 音作りを含めて、バンドが出したい音を理解しているので、遠回りせずに答えを早く出せますからね。

――そのサウンド・メイキングって言葉にできます?

ANDREW 具体的に言うと、アメリカの好きなバンドとサウンド・メイクが近いというか。お互いに聴いてきた音楽も近いし、かっこいいと思う音が似てますからね。西海岸系と言われる人たちをレコーディングしたときは大体NO USE FOR A NAMEの音を持って来て、こういう音にしてください!と言われてましたからね。自分もどうしたらこんな音が出るんだろうって、今でも研究してますから。お互いに出したい音は日本のアーティストよりも、海外のアーティストですね。ドラムの出方もお互いの好みがバチンと合ったから。

TANNY すべてにおいて話が早かった。

――SUNEさんはどうですか?

SUNE 来たな!って感じですね。こんなにドラムを前に出すエンジニアの人がいるんだなって。ドラムって最初に録って、全体のバランスを見て、引っ込むことも多いんですよ。でもANDREWさんはドラムの存在感を残したまま、全体のジャマをしてないので、そのバランスがいいなと。

――それはANDREWさんがドラマーであることも大きい(笑)?

ANDREW まあ、それはありますね。海外のバンドもヴォーカルと同じ位置にスネアがあったりするので、そういうイメージはもともとありました。

TANNY 僕らもドラムがでかい音源がかっこいい!という認識があって。

――理想とする音源とかありました?

U-tan 音的にはGREEN DAYの『AMERICAN IDIOT』が一番好きでしたね。

TANNY あの当時、神やったな。

U-tan ギターの歪みに関しても、めちゃ歪んで聴こえるけど、実は全然歪んでないんですよ。あのギターの音はやばいですね。

ANDREW あの作品はドラムがめちゃくちゃ出てるからね。

TANNY あの音源は結構研究したな。どうしたらこんな音が出せるんやろって。

U-tan 俺らは曲の速さも違うから、自分たちなりのサウンド・メイキングをしなきゃいけないなと。

ANDREW 今やどの音源を聴いても、GOOD4NOTHINGの方がいいなと思っちゃいますからね(笑)。

U-tan ANDREWとはアルバム5枚分録ったのか。それで音量のメモリを一つだけ下げたことがあって、あれは正解やったな。

――何ですか、それは?

ANDREW 日本の作品って音がでかいんですよ。あれはなぜかと言うと、マスタリングで音量を決めるときに日本人はめちゃくちゃでかくする傾向があって。でも海外の作品はそこまででかくないんですよ。音量をでかくすると、音が潰れちゃうんですよね。それをメモリ一つ下げることで、メリハリの付くサウンドになるんですよ。そしたら、さらに日本人離れした音になったという。

TANNY それは年齢もあるのかもしれない。若いときは足し算しか知らないけど、引き算を覚えることで、全部の音像が聴こえることを考えるようになったから。

――GOOD4NOTHINGの作品で言えば、どの辺りですか?

U-tan 『KIDS AT PLAY』(15年9月発表)かな。

――『KIDS AT PLAY』で一つのサウンド・スタイルが確立できた?

ANDREW そうですね。他の人たちの評判も良くて。友達のバンド、エンジニアさん、お客さんからも聴きやすくていい!と言われて。これを真似できる人はいないんじゃないかと。

SUNE 自分で生音を出すスタイルという意味でも、ANDREWさんとタイプが似ているんですよ。音を張る必要もないし、貼って欲しくないですからね。

ANDREW 音が抜けてこない理由は・・・機械の音をペペッと張ってる人たちは多いんですけど、引き算ができればそれをやる必要もないんですよね。

――なるほど。話が戻りますけど、今GOOD4NOTHINGの音像でほかに指針になっている作品というと?

MAKKIN 最近はサンプルとか持って行かないもんな。

U-tan 最初にANDREWと話したときに持って行ったのはGREEN DAYとNOFXですね。

TANNY  あと、BLINK-182の『TAKE OFF YOUR PANTS AND JACKET』ですね。

ANDREW GREEN DAY、NOFX、BLINK-182って音は全然違うんですけど、口ではうまく説明できないけど、何か共通点はあるんですよ。

――へぇー! そうなんですね。

ANDREW  それでさらにGOOD4NOTHINGの全作品を聴いて、質問攻めをして、「なぜこの時のギターはこんなに歪んでるの?」って。いろんな話をしましたね。今はGOOD4NOTHINGが出したい音を100%理解しました。

――100%って凄いですよね!

ANDREW もちろん100人が100人いいと言うわけじゃないだろうし、いろんな環境で聴くだろうし・・・だけど、いい作品って安いイヤホンで聴いてもいいんですよ。それを目指しているというか、GREEN DAYの『AMERICAN IDIOT』もどんな環境で聴いてもかっこいいですからね。

TANNY アナログもデジタルも経験して、その辿り着いた先にANDREWと出会ったので、それも良かったのかなと。

――GOOD4NOTHINGのここ数年のライヴにおける無敵感は、ANDREWさんとタッグを組んだことが大きいと?

U-tan それは間違いないですね。レコーディングも楽しいし。

ANDREW  ライヴもレコーディングも楽しみつつ、エンジニアとしては少し上の立場で接した方がいいんですよね。エンジニアとアーティストという関係性を保てるし、アーティストに応えられないエンジニアって、不安になっちゃうじゃないですか。

――ええ。

ANDREW リハのときも関係者が見てるじゃないですか? そのときに一番頑張ってるんですよね(笑)。それが本番に繋がるから。リハで判断される世界なので、SUNEに対バンのバンドが「SUNEさん、ドラムの外音やばいっすね!」と言われたら、SUNEも安心してライヴに臨めると思うんですよ。アーティストを不安にさせるエンジニアは失格だと思っているんで、リハでも本気が出るんですよね。

――この5人のチームワークがGOOD4NOTHINGの快進撃に繋がっていると。

TANNY 今はギアが寸分も狂いもなく噛み合ってる感じですね。

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